企業を支える管理職のモチベーションを高めよう

第五回

管理職にとっての「ポジティブ特性」とは?

西暦2000年前後からポジティブ心理学という領域が研究されるようになりました。これはそれまでの一般の心理学が精神疾患を治すことに着目してきたのとは異なり、どうすれば充実した幸福な生き方ができるかという点に取り組んでいます。

ではどうすれば幸福な生き方ができるでしょうか。研究者たちは人が幸福感を感じるにはポジティブな(積極的な)考え方あるいは特性が欠かせないことを発見してきました。ポジティブ特性には、自尊心や楽観性また感謝の気持ちなどいろいろなものが含まれます。

管理職にポジティブ特性が求められるのはどうして?

管理職は自分の業務に加えて部下のサポートなどさまざまな業務を果たす必要があります。この業務の複雑さや量の多さはストレスとなりますし、物事がなかなかうまくいかない時は特にそうです。そういう状況が長く続くと残念なことに心身に影響が出ることもあります。それで状況を変えることはできなくても自分の考え方や反応を変えることは管理職がストレスに上手に対処する上で欠かせません。

ここでA-More「管理職人材評価診断」のデータをご紹介します。図1はワークモチベーションの値を楽観性の値と比べています。

図1:無断転載禁止

楽観性が高ければワークモチベーションの値も高くなりやすいという関係があるということが分かります。同じ状況でも人によって反応が異なることは、半分のところまで水が入っているコップを見て「半分もある」と感じる人と「半分しかない」と感じる人がいるという古典的な例からも説明されます。

管理職がポジティブ特性を高めるには?

ポジティブでいられるかどうかは日々の習慣が大きく影響します。それで例えば「一日の終わりに良かったことを三つ考える」ことや「感謝の気持ちを手紙に書いて渡す」ことに意識的に取り組んでみることは役立ちます。

また身体の健康が考え方と相互に関係していることを踏まえて健康的な生活習慣も必要です。まず食習慣についていうと、栄養バランスの取れた食事を意識し、逆に糖分・脂肪分・塩分はほどほどにします。食事の量や時間帯にも気を付けて、よく噛んでゆっくり食べましょう。さらに定期的な運動や十分な睡眠にも取り組めます。

次回予告

次回はポジティブ特性の一つであるレジリエンスについてご紹介します。